最近、社会言語学(sociolinguistics)に興味を持っています。
社会言語学とは、言語を社会的要因との関連で見ようとする言語学の一分野です。
私が特に興味をもっているのは、文化と英語の関係です。
“英語”は、グローバル社会の中で、コミュニケーションをとるためのツールとして使われていますが、
国によって使われる単語や表現が違ってきます。
そこには、文化的背景や人種、移民の母国語が大きく関わってきています。
例えば、シンガポールに住んでいた頃、同僚に、
“Have you eaten lunch (お昼食べた)?”
と聞かれる事が多くありました。
最初の頃は、一緒に食べたかったのかな?と思いながら
「食べたよ。」や「まだ、食べていない。」と答えていたのですが、
そのうちに、別に私が食べたか食べてないかを
確認したいわけではないと気付きました。
中国語では、「ご飯食べた?」と聞き、
相手がちゃんと食べて健康に過ごしているか心配する気持ちを表すそうです。
日本で、知り合いに会った時に「元気?」と聞くのと同じような感じですね。
中国系の人が70%を超えるシンガポールでは、
英語にも中国語の影響があり、”Have you eaten(食べた)?”と聞く人が多いようです。
社会的背景が、その地域の言語にも大きく関わっているのは、
本当に面白いことだと思います。
また、以前インド系の方に
“May I ask your good name?”
と聞かれたことがあります。
good nameと聞かれたのはその時が初めてだったので、戸惑ってしまいました。
インド系の同僚に聞いてみると、丁寧に名前を聞く際に、
good nameと言う人がいるとのことでした。
詳しいことはわかりませんが、イギリスの植民地時代に関係しているとか。
アメリカの若者によく使われるスラングも
一部の社会(グループ)に使われ広まった単語や表現で、
社会的要因があるといえます。
英語学習者がスラングの意味だけを学び、間違ったシチュエーションで使った場合、
うまく伝わらなくなったり、誤解を生む可能性があります。
そのため、社会言語学の観点から、使える英語を教えることも大切だと考えています。
以上です。
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